保育士になる動機は「子どもが好き」だから

保育士試験の実技試験が平成30年12月9日(日)に迫っています。保育士になる動機は様々かと思いますが、一番多いのはなんと言っても「子どもが好き」だからという理由のようです。

しかし、「子どもが好きだから保育者になった」というのは当たり前のようですが、他の社会福祉に携わる人との動機とは根本的に違うのではないかと考えています。

例えば、「高齢者が好き」だから介護士になる人はあまりいないし、「障害者が好き」だから障害者施設に勤める人は稀でしょう。

多くは援助やサポートが必要な人の助けになりたいとか社会福祉に関わる仕事をして社会を少しでも良くしたいとか、そうった動機が大きいと思います。

子育て支援は保育者の責務

2018年4月施行の保育所保育指針は、以下の5つの章から成り立っています。

第1章 総則
第2章 保育の内容
第3章 健康及び安全
第4章 子育て支援
第5章 職員の資質向上

全5章のうち4章が「子育て支援」、5章が「職員の資質向上」となっており、現在の日本における子育て支援の重要性と保育士の専門性の向上が高く求めれていることがわかります。

また、それまでの「保護者に対する支援」から「子育て支援」という記載に変わり、子育て支援の重要性が一層強調されています。

指針における子育て支援の内容

以下が保育所保育指針における「第4章 子育て支援」の内容(見出し)です。

1 保育所における子育て支援に関する基本的事項

⑴ 保育所の特性を生かした子育て支援
⑵ 子育て支援に関して留意すべき事項

2 保育所を利用している保護者に対する子育て支援

⑴ 保護者との相互理解
⑵ 保護者の状況に配慮した個別の支援
⑶ 不適切な養育等が疑われる家庭への支援

3 地域の保護者等に対する子育て支援

⑴ 地域に開かれた子育て支援
⑵ 地域の関係機関等との連携

指針では自分の保育施設の保護者に対する子育て支援を必須とし、地域の子育て支援を努力義務としています。

「保護者が好き」だから保育者を目指す人はほとんどいないと思われますが、子育て支援やいわゆる保護者対応が苦手という保育者は少なくありません。

一方、多くの保育者が例えば日々様々な保護者との関りの中で「子どもの最善の利益」の実践に悩んだり、卒園後に自分の手から離れていく子どもたちの幸せを考え自分の無力さを実感する経験をします。

そうした経験から児童家庭福祉の意義やあり方を考え、保護者に対する子育て支援はつまるところ「子どものため」であることに気づき、なぜ子育て支援(児童家庭福祉)が保育士としての責務であることの意味を理解します。

子育て支援に関する基本的なこと

保育所保育指針の第4章の1に「保育所における子育て支援に関する基本的事項」が記載されています。

1 保育所における子育て支援に関する基本的事項

⑴ 保育所の特性を生かした子育て支援

ア 保護者に対する子育て支援を行う際には、各地域や家庭の実態等を踏まえるとともに、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者の自己決定を尊重すること。

イ 保育及び子育てに関する知識や技術など、保育士等の専門性や、子どもが常に存在する環境など、保育所の特性を生かし、保護者が子どもの成長に気付き子育ての喜びを感じられるように努めること。

また、保育所保育指針解説には以下の記述もあります。

保育士等は、一人一人の子どもの発達及び内面についての理解と保護者の状況に応じた支援を行うことができるよう、援助に 関する知識や技術等が求められる。内容によっては、それらの知識や技術に加えて、ソーシャルワークやカウンセリング等の知識や技術を援用することが有効なケースもある。

基本的と言いながら一読してかなり難易度の高い要求をしていることがわかります。「うちはできてます」って自信を持って言える保育施設って世の中にどのくらいあるのでしょうか?

地域の子育て支援の拠点としての保育施設

また、指針には努力義務として地域の子育て支援についての記載があります。

地域の実情や当該保育所の体制等を踏まえ、地域の保護者等に対して、保育所保育の専門性を生かした子育て支援を積極的に行う

昨今、保育園が「迷惑施設」であるという誤解から各地で建設反対の運動について聞くことが多くなっています。

しかし保育施設が上記の様な専門性を持って地域の子育て支援に積極的に貢献することができれば保育施設が迷惑施設であるという先入観を払拭できるし、むしろ受け入れを請われる様な施設になってくることも期待できます。

その様な保育施設を目指すためには指針の第5章「職員の資質向上」にある通り保育施設は保育や子育て支援に必要なソーシャルワーク等の専門性を獲得することが必要だし、保育者は今以上に勉強しないといけないと思っています。

学ぶ時間を確保し、より良い保育を実践するために

以前のブログにも書きましたがこれからの保育施設は、学ぶ時間確保のためにICTの導入や業務の効率化を進める必要がありますし、今後は子ども一人ひとりの様々なデータやその分析結果を用いて保育や幼児教育を行っていく能力も必要になってくると思います。

この様な時代の変化は保育者にとっては多くの苦労を伴うことではありますが、以前にも増して保育がやり甲斐のある仕事となり、世の中から尊敬される職業になるという期待も大きくなっていると僕は感じています。


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