経済産業省で情報処理振興課でソフトウェア産業振興関係の業務に従事し、調査統計グループ経済解析室長を歴任した後、2019年1月1日に株式会社social solutions 取締役に就任しました元経済産業省・石塚 康志氏にインタビューを行いました。
その内容を2回に分けてご紹介します。今回はその1回目。

今までは利害調整と課題解決のための制度設計を行うのが仕事
ーー当社に入社するまでの経緯と、当社の課題である「社会的課題の解決」をどのようにお考えかお聞かせください。
石塚氏:大学卒業後、通商産業省(当時)に入省し2018年末に退省するまで、多くの「仕組み」を作ってきましたが、次第に“靴の上から足をかいている”という気持ちが沸き上がってきました。
社会課題に対して様々な関係者との利害調整の実施と課題解決のための制度設計を行い、「こういう風にしたらいいんだよ」とメッセージを発信してきたつもりでした。しかし、どこかに現実に目の前で困っている人を助けることはできていないのではという疑問もありました。
ーー なるほど。確かにそういう側面はあるのかも知れませんね。
省庁の中にいて社会課題に対して制度設計を行い、その課題を解決することは一見根治療法に見えますが、根治療法だけでは済まない問題が実は多くあるのだということに気が付いたのです。
私自身も子ども二人を保育園に預けてきた親でもあります。また、私の父親も介護の様々なサービスを利用しています。生活の中で保育と介護は身近な存在となっていますが、一方でこれらのサービスを受ける立場の人間として疑問や悩みがあります。
そして私だけでなく保育や介護を必要とし、これらのサービスを頼っている本人やその家族にも悩みがあるのと同じく、サービスを提供している側にも疑問や悩みがあるはずなのではないかと考えるようになりました。
認証保育所からの「認可移行」で気が付いた不自由さ
当初、私の子どもが東京都認証保育所に通園していましたが、そこでは様々なきめ細かいサービスを提供してくれていました。
例えば、近くのスポーツ施設と連携し、保育園用のカリキュラムを作ってプール教室を行っていました。また、体操のインストラクターと契約し毎週保育園に来て頂き、園児たちに体操を教えるというプログラムも行っていました。
そんな中、子どもが通っていた東京都認証保育所が認可保育園へ移行(いわゆる「認可移行」)することになったのですが、認可保育園になった途端に今まで行ってきた独自のプログラムはすべて廃止せざるをえない状況になりました。
ーー「認可移行」の際に確かによく聞く話ですね。
はい。東京都認証保育所は東京都が独自に定めた保育園の制度です。認可保育園の様な様々な制約・制限がないため認可園と比較して様々なプログラムや個性的な行事が行えたのですが、認可移行によってそれらができなくなったのです。
認可保育園はどこもこうなのかと聞くと、「一般論では確かにそうだがそれも自治体によって差がある」と言われ、初めて認可保育園の不自由さを知ることになりました。

実際にサービス提供をしている現場に飛び込むことで解決できる
実はこのような問題が省庁の人たちには見えていないのではないかと思っています。
また、問題が見えたとしてもこれらを解決してくためには実は省庁の中にも多くのハードルがあり、本当の意味でその問題を解消していくことが簡単でないことは私も役所で働いていた身分ですのでよくわかるつもりです。
この様な経緯から、役所から出て実際にサービスを提供しているところに飛び込み、一つひとつどこまでできるのかということをやらないときっと物事は変わらない。こんな事を40代半ばで感じていたのだと思います。
50歳になる年に、来年以降のことを考えようかと色々と話を伺っていたら(貞松)社長にお声がけ頂いて、「ぜひお手伝いさせてください」という感じでお返事をさせていただきました。
ーー決断までに時間はかかりましたか。
石塚氏:どちらかと言うと“早く現場に出なくては”と思っていました。制度設計を行うだけでなく、現場でそれを実践し、具体的なサービスを提供するというところまで行いたいと考えていたので。
それによって自分の社会に対して何かの役割を果たし、何かを達成し充実感を感じたいとも思っていましたし、具体的にどのようなところだったら私が役に立つんだろうと考える様になりました。
第2回はこちら。
【プロフィール】
石塚 康志(いしづか・やすし)氏
1968年東京生まれ。東京大学経済学部卒業
1992年 通商産業省(当時)入省
その後、調査業務、保安規制業務、家電産業担当等の部署に配属
1998年 機械情報産業局(当時)情報処理振興課において、ソフトウェア産業振興関係の業務に従事。
2001年 石川県庁商工労働部産業政策課出向、公正取引委員会出向
2005年 商務情報政策局 情報処理振興課
2011年 通商政策局 企画調査室長
2013年 経済産業政策局 知的財産政策室長
2016年 調査統計グループ 経済解析室長
2018年 経済産業省退省
お問合せ先
企業名:株式会社global bridge HOLDINGS
部 署:広報PR室
担 当:石元、新倉
T E L :03-6284-1607(受付時間10:15~18:00)
F A X :03-6284-1608
E-mail:koho@aiai-group.co.jp
Twitter:https://twitter.com/globalbridgeCo
Instagram:https://www.instagram.com/gbhd_/
当ブログは執筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社の統一的な見解を示すものではございません。なお、当ブログに記載された内容は予告なしに変更されることもあります。当ブログは著作物であり、著作権法に基づき保護されています。当ブログの全文又は一部を著作権法の定める範囲を超えて無断で複製、翻訳、翻案、出版、販売、貸与、転載することを禁じます。