- 5月18日(土)および19日(日)に行われた一般社団法人 日本社会福祉マネジメント学会の東京都保育士等キャリアアップ研修 「乳児保育」の研修レポートです。
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ご存じの通り保育は様々な専門性の集合としてで成り立っていますが、「乳児保育」はその中でも特に難しく、しかし非常に興味深い分野だと思います。
また、様々の研究の成果によりこれまで良く分からなかった乳児の様々な事柄がエビデンスとともに解明され、広く紹介されるようになってきています。
さらには乳児保育は幼児保育/幼児教育や障害児保育等を学ぶ上で土台となる分野でもありますから、この研修を機会に「乳児保育」の基礎をしっかり学びたいと思います。

乳児保育の難しさ
2018年改定の「保育所保育指針」では保育施設を教育機関と捉え教育、特に非認知能力の育む取り組みを重要視しています。しかし、乳児保育における非認知的能力とは何か?保育者がどの様に関わるか?という課題は実は現在の保育者が大学や養成校で教わっていない事柄です。
また、養護に関する記載を総則に盛り込むなど保育施設における養護が強調されており、乳児保育における養護の重要性はより深まったと思います。
一方で、子育て支援に関しても乳児期は幼児期とはまた違った配慮や知識が必要になります。
保護者との関わりなしに保育は成り立ちませんが、乳児期は子育てに対する不安が多く、生活環境や保護者の多様化等もあいまって保育者と保護者との子育ての協働が難しい時代になっています。

講師は豊富な保育実践の経験を持つ小山朝子先生
講師は帝京平成大学 現代ライフ学部児童学科 保育・幼稚園コースの小山 朝子先生です。
保育施設での実践経験(特に乳児での経験)が豊富で課題等も具体的な内容が多く、事例を交えた先生の説明は非常に説得力がありました。
時に保育者にとって耳の痛い話もありましたが皆さん、興味を持って聞くことができたのではないでしょうか。

「乳児保育」研修の概要
それては研修の概要をご紹介します。
一日目は乳児保育の意義・目的と保育の役割と機能を、さらにそれらをもとに乳児保育の基礎となる環境や生活と遊びの関わりを子育て支援の重要性も交えての講義となりました。
一日目
乳児保育の意義
乳児保育の「意義・目的」
乳児保育の役割と機能
乳児保育の環境
乳児保育の基礎となる環境
乳児保育における安全な生活環境
環境に関わり、遊びを通して発達する力
他職種との連携
乳児の適切な関わり
乳児における配慮事項
乳児保育における保護者の関わり
乳児保育における生活習慣の援助や関わり
研修では、DVDを使って実際の映像を見たり、いくつか事例を紹介しながら、グループ内でディスカッションを行いました。
事例のひとつをご紹介します。
以下の事例の後、あなたは保護者にどのように関わりますか?
1歳クラスにH君(1歳8カ月)を預けて育休復帰をする母親。入園面接では、仕事に復帰することに気持ちが向いているようで「早く長く預けたい」「残業は断れない」など伝えてくる姿があった。そして、離乳食のことを聞くと「アレルギーが心配なので、アレルゲンの食材は食べさせないでほしい。」と言われた。医師の確認があるか聞くと「自分が、青魚がダメだからこの子もきっとアレルギーがある。お医者さんに行かなくてもわかっている」と答える。
保育者は・・・?
実際の研修では上記の課題に対して「その後、あなたはどうしますか?」と「その根拠を説明しましょう」という2つの視点で整理しています。

二日目は保育所保育指針の理解と乳児の発達過程、指導計画についての内容でした。
1日目に続いてDVDと事例をもとにエピソード分析型の記録・省察・結論に分けて考えるワークを行いましたが、皆さん真剣に言葉を選びながら作成されていました。
二日目
保育所保育指針について~乳児保育の視点から~
3法令の同時改定の背景
乳幼児期の保育(子どもと家庭)をめぐる状況
「乳児保育」の教育・保育におけるポイント
「乳児保育」における保育所保育指針の改定のポイント
乳児・1歳児以上3歳未満児の保育内容の概要
保育内容と育みたい資質と能力との関係
乳児・1歳以上3歳未満児の発達過程と保育内容
乳児・1歳以上3歳未満児の発達過程と保育者のかかわり
保育所保育指針における3歳児未満児の発達と保育内容の記載
基本的事項でみる乳児・1歳以上3歳未満児の発達
保育における保護者との関わり
子育ての協働が難しい時代
保護者が親になっていくということ
保護者から信頼されるコミュニケーション
最後に2日間の研修の仕上げとして「今度、子どもにあったらどう関わりますか?どんなことに気を付けますか?」 をできるだけ具体的に記載し、グループで共有したあと自身の「宣言」として発表を行いました。

自らの保育を振り返る姿勢
研修の二日間を通して小山先生はいくつかの強いメッセージを残されていきました。
個人的には、保育者がつい手を出しそうになりそうな状況であっても我慢して見守る姿勢の重要性を伝えるときの「子どもを信じてあげてほしいんです」という小山先生の言葉が印象に残りました。
そこには小山先生の保育に対する強い信念と覚悟、子どもへの深い愛情を感じることができたように思います。
また、乳児保育を切り口にした子育て支援についての重要性を絶えず強調されていたのは、長く現場で保育実践をされてきた小山先生ならではだったと思います。
そして小山先生がこの研修で一貫して話されていたのは「今、実践している保育は適切か?」と自らの保育に対しての姿勢についてでした。
この研修に参加されたみなさんには本研修が終わった後も絶えずこの問いかけをおこなってほしいと思います。
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