当社の施設長会議(当社では『目標会議』と呼んで毎月1回開催しています)では、外部講師をお招きしての施設長向けに様々な研修を行っています。
8月の目標会議は、名古屋経営短期大学講師 木村 拓磨 先生による「保育者のストレスとストレッサー、達成目標志向性と関連 ー 縦断的なストレスの変化に注目して」をテーマに講演をしていただきました。
木村先生は、一般社団法人 日本社会福祉マネジメント学会の東京都保育士等キャリアアップ研修で「障害児保育」を担当していただいています。
研修のレポートはこちら。
https://aiai-group.co.jp/cms/pr_blog/%e4%bf%9d%e8%82%b2%e5%a3%ab%e7%ad%89%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%aa%e3%82%a2%e3%82%a2%e3%83%83%e3%83%97%e7%a0%94%e4%bf%ae%e3%83%ac%e3%83%9d%e3%83%bc%e3%83%88%e3%80%8c%e9%9a%9c%e5%ae%b3%e5%85%90%e4%bf%9d-2/
木村先生の専門は応用行動分析(ABA)で現在は大学での研究のかたわら児童発達支援事業所や保育園等の巡回指導などもされています。
今日の研修は障害児保育関連ではなく保育者のストレスに関する内容でした。
保育者の達成目標志向性と抑うつの関係
達成目標志向性では「遂行目標」は目標が達成されたかどうか、「学習目標」は学んだことがどれだけ身になったかのふたつの側面から比較します。
達成目標理論の解説(参考リンク)
http://shinrinyushi.blog.fc2.com/blog-entry-100.html?sp
一般に「遂行目標」は「学習目標」と比較して抑うつ状態に繋がりやすいと言われています。
感情労働者と言われている保育者の達成目標志向性は学習目標が強いと思われるのですが、今回の講義は実際に保育者の目標志向性が保育者にどう影響を及ぼすかという内容です。
「エビデンスに基づく保育」のための前提知識
木村先生からは、エビデンスに基づく保育実践のために「なぜエビデンスが必要か」の説明と併せて、統計学の基礎的な理解のための変数や分布と標準偏差、検定、相関係数等に対しての簡単な説明をしていただきました。
看護師の地位向上を例にとって実践者(現場の保育者)がエビデンスを作ることで保育士の地位向上につながるという話をしていただいたのは印象的でした。
研修の詳細はここでは省きますが、保育者の達成目標志向性と抑うつの関係についての考察をご紹介しておきます。
総合考察
・保育者個人の能力に合わせ、具体的な達成目標や失敗しないような目標を立てることで短期的に抑うつ感や不安感を軽減できる可能性はあるが、長期的には効果がないことが考えられた。・学習目標志向性は短期的な効果はみられないが、長期的には保育者の抑うつ感の軽減に効果がみられる可能性があり、保育者はこの両方の目標を適切に立てていくことが重要だと考えられた
今回の研修は、単に木村先生の研究結果を説明するだけでなく、研究をするにあたっての科学的な手続きについても説明をしたところが当社らしいところだったように思います。
福祉業界では統計学に関する基本的な知識はコモンセンスにはなっていないので、初めて聞いた方は統計に関する説明は多少難しかったかもしれません。
また、応用行動分析(ABA)のアプローチや考え方は療育では一般的ですが、保育では新鮮な切り口だったのではと想像します。
しかし、今回の研修での統計学とエビデンスに対する考え方や研究結果から得られた考察は、今後の施設運営にとっても良いヒントになったのではないかと思います。
木村先生。どうもありがとうございました。
《追記》
一般社団法人 日本社会福祉マネジメント学会
2019年 研究助成報告会における木村先生の研究助成 成果報告書
「保育者のストレスとストレッサー、達成目標志向性との関連-縦断的なストレスの変化に注目して 」
https://jasm.info/cms/wp-content/themes/jasm/doc/1904subsidy.pdf
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