海外研修で学んだ“主体性を育む保育”を土台に、家族のように集う園に
園紹介の第6回目は「あい・あい保育園 本町園」です。
大阪のオフィス街でありながら、バラ園やケヤキ並木のある靱公園が近くにある「あい・あい保育園 本町園」。戸外遊びでは、大きい広場で異年齢の園児たちが追いかけっこをして遊んだり、季節の花をじっと観察したり、虫捕りを楽しんだりと四季の変化を感じられる環境で、のびのびと過ごしています。
また、関西のあい・あい保育園のなかで唯一、保育ロボットのVEVO(ビーボ)があり、園児の登園を見守っています。
そんな本町園のことを細田施設長と3歳児担当の高島先生、0歳児担当の新入社員、宮田先生に伺いました。
■本町園を巣立っても、もう一つの“家”でありたい
Q.本町園では夕涼み会が好評だとお聞きしました。
細田:今年はコロナの関係で大規模なものはできませんが、例年は“夕涼み会”に園児とご家族、そして卒園児もご招待して、いつもと違う雰囲気の保育園を親子で楽しんでいただきました。魚釣りやスイカ割、宝探し等の乳児でも楽しめるゲームや、盆踊り、そして手作りのおみこし担ぎ等を楽しみます。毎年300人くらいは来てくださいます。
Q.それはすごいですね!高島先生はどんなことを担当されたんですか?
高島:私は夕涼み会の迷路担当だったのですが、乳幼児クラス担任と相談し園児が楽しめるように毎年テーマを決めて作っています。一昨年のテーマは「忍者」で、昨年は「海」です。
乳・幼児ともに、それぞれの発達に合わせて作りますが、例えば乳児さんはマットを使って坂を作り、ハイハイしながら進めるようにします。安全面も考慮して、保護者の方が上から覗き込めるように工夫をしました。
Q.乳児さんと幼児さんの2つも作るとなると大変じゃないですか?
高島:そうですね。1ヶ月前から準備するのですが、普段の保育の制作で迷路の装飾とか、魚を子どもたちが作るんです(笑)夕涼み会当日に子どもたちも迷路を進みながら、自分の作った海の生き物を見つけるとすごく嬉しそうにするんですよ。
Q.なるほど!みんなで作り上げているんですね。
高島:はい!(笑)保護者の方と、自分の作品をバックに写真を撮ったりしてるのを見ると、こちらまで嬉しくなってしまいますね。
実は一年目のときも迷路担当だったんです。でも、最初は何をしていいかわからなかったのですが、先輩の先生が「先生はどんなことしたい?まずはイメージからでいいよ」とやさしく声をかけてくれました。やりたいなと思うことがあったので、そう先輩に話すと、「それならこうしてみたら」と具体的にアドバイスをしてくれて形にすることができました。今年は私が、一年目の宮田先生はじめ、新しい先生たちにアドバイスしてあげたいと思います!コロナの影響で今年はできないかもしれませんが、子どもたちも楽しみにしている夕涼み会なので、次回も素敵な行事になるように頑張ります。
宮田:自粛もあってまだ行事に関われていませんが、0歳担当になって、ペアで担任になった先生もいろいろ教えてくれますので、今は1人1人と深く関わり、今後の行事につなげていけたらと思います。
Q.頼もしいですね。細田施設長はこの行事に対して、どんな思いをお持ちですか。
細田:夕涼みの会は、親子で楽しく、職員も楽しければ大満足です。そして、子どもたちの中に本町園で過ごした時間が楽しい思い出として残れば嬉しいですね。
保育園という場所は園児も保護者の方も、私たちも一緒に成長できる場だと思っているので、卒園したから終わりというわけではなく、ずっとこの園を「もう一つの“家”」と思って頂けるよう、関わっていきたいと思います。
■自分の想いを言葉で伝えられるように。主体性を育む保育を実践。
Q.本町園ならではの取り組みは何かありますか?
細田:今はコロナで自粛していますが、園児と職員全員が参加する“朝の会”があります。絵本や手遊び、季節の歌などを歌った後、全員の名前を呼んで出欠を取っています。幼児子どもたちは、みんなの名前を覚えています。最後に手を挙げた内3人を選び、全員の前で「言いたいこと」を話します。
Q.へぇ!みんなの前で、ですか?
細田:そうです(笑)なにを話してもいいんです。1歳後半の子でも一生懸命手を挙げて、「おかあちゃんと来た!」とか「パン食べてきた!」とか約80人の前に立って話すんです(笑)こうやって習慣づけていくと人前でしっかりお話できるようになるのです。4~5歳くらいになると、いつ・どこで・誰と・どうしたかまでお話してくれる子もいます。
Q.みんなの前で意見を言うことができるようになるんですね。
細田:自分が何をしたいか、何が言いたいのか、まずは伝えられるようになってほしいなと。
以前、当社のフィンランド研修で森の中の幼稚園を見学した時、子どもたちは半日を森の中で過ごしていました。大自然の中では子どもたちの好奇心や探求心がわくんですね。子どもたちは森での遊びを通して確実に何かを学んでいました。好きなことをやりながらも、自分の身の守り方をきちんと学んでいるんです。フィンランドでは好きなことや興味のあることに着目しそれを伸ばすことで、苦手なことが後からついて伸びてくるという考え方なんです。
Q.なるほど。フィンランド研修の経験が細田施設長の保育の背景のひとつなんですね。
細田:子どもたちはそれぞれの好きなこと、やりたいことが違います。当園では、0歳~5歳までそれぞれの発達にあった「コーナー遊び」を開園時から取り入れ、自由時間には子どもたちが自分で選んで遊べるようにしています。この「コーナー」は、各クラスの担任が発達を考えながら作り、子どもが自主的にやりたいことを好きなように遊べる空間にしています。
Q. そうなんですね。実際の保育の中で、気を付けていることはなんですか?
高島:ひとりひとりの発達を見て、声かけはしますが、出来ない子がいたとしても特別扱いせず、さりげなく接するようにしています。例えば、おしゃべりが得意ではない子がいたとしても、無理に話をしてもらうのではなく、おしゃべりが好きな子に「この子、こんなこと上手だよ」と声かけるとお友達同士で自然とした流れでお話ししてくれます。保育者はその流れを作る感じですね。
Q.子どもたちの気持ちを大事になさっているんですね。ありがとうございます。最後に一言、お願いします。
宮田:子どもたちがなんで泣いているのか、なんでこういう行動をしているのか、保護者の方はなぜ困っているのかなどきちんと考えて、相手の求めているものを知るために、信頼関係を築いていきたいです。
細田:子どもたち一人ひとりと成長を見守りながら、わたしたち職員も成長していきたいと思います。
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