近年、発達障害とされる子どもが増えています。中でもADHD(注意欠如・多動症)の子どもは少なくありません。文部科学省の調査では、小学校~高校で通級指導を受ける児童・生徒のうち、ADHDの子どもは、2009年の4,013名から、2019年には24,709名と10年で約6倍に増加しました。*1
ADHDをはじめとする発達に特徴のある子どもたちは、日常生活にも困りごとを抱えているケースがあります。ところが、通常の生活ができない災害時などは、より困難を抱えてしまうことが予想されます。
市民消火隊で活躍する社員がコミュニティFM出演
こうした「発達障害児の緊急避難」について、当社社員・大河原光子が3月30日、東京都葛飾区のコミュニティ放送局「かつしかFM(78.9mHz)」の番組「かつぼうそなえチャオ!」に電話出演。発達障害児の緊急時避難をテーマにパーソナリティの葛西優香さん、佐々木健二さんとトークを繰り広げました。
大河原は、仕事のかたわら葛飾区の市民消火隊の女性指揮官として日頃から防災ボランティア活動に力を入れており、これまでもメディアなどに出演して防災意識を育むことの大切さを訴えてきました。
今回もパーソナリティの葛西さんから、「発達障害のお子さんが、緊急時に避難場所に避難することは難しいのですか?」と質問されると、「はい。実は、先日、ある発達障害のお子さんを持つお母さんから相談がありました。『(災害があっても)うちの子は避難所には行けません。知らない場所に大勢の人といることで、パニックになってしまう心配があります』というものでした」というエピソードを紹介。
こうした場合には「自宅が大丈夫なら自宅で(過ごして)。親戚や友人・知人などのコミュニティの力を活用して。同じような立場のパパ・ママが集まるコミュニティもあるので、ぜひつながりを持ってほしい」とアドバイスしていました。
ADHDやASD(自閉スペクトラム症)などの発達障害を持つ人のなかには、視覚や聴覚などの感覚が過敏だったり、日常の変化に対するストレスがとても大きかったりするケースがあります。「いざというときにも安心できる場所」を、できるだけ確保しておくことが大切だということでした。
ひとりで悩まず相談を
グループ会社のAIAI Child Careが運営する障害児福祉施設「AIAI PLUS」は、こうした発達に特徴のある子どもたちをサポートする施設です。
大河原も「もともとADHDについてあまり知りませんでしたが、会社が力を入れていることから勉強したところ、ふとADHDの方は防災で困っていないだろうか?と思い至った」とのこと。防災ボランティア活動を通じて発達障害のお子さんを持つお母さんたちから、相談を受けるようになったそうです。
こうした子どもたちを持つ保護者は「誰に相談していいかわからない」という方も多く、相談自体をあきらめる方も少なくないのだとか。
同じ立場のパパ・ママのコミュニティや公共機関への相談はもちろん、AIAI PLUSのような福祉施設などを活用して、緊急時の備えはもちろん、ひとりで悩むパパ・ママが少しでも少なくなればと思います。
(参考)国立障害者リハビリテーションセンター・災害時の発達障害児・者支援について