セミバイキングなどの独自の取り組みで自ら考える力を養う!物理的&心理的に“オープン”がモットーの保育園

千葉、東京、神奈川、大阪で72のあい・あい保育園を展開している当社(2020年8月現在)。どの園も独自のイベントや取り組みを工夫し、子どもたちにとっての“もうひとつの家”を運営しています。そんなあい・あい保育園を順番に紹介していく企画です。「どんな園?」「どんな保育士さんがいるの?」など園の魅力をお伝えしています。

今回は、東京文京区のあい・あい保育園 新大塚園です。オフィス街へのアクセスが良い新大塚駅から徒歩6分ほどにある好立地も魅力。武内施設長と佐藤主任代理(3年目)にお話しをお聞きしました。

■見立て遊びは子どもの真骨頂。ただのフェルトがリンゴに変身!

Q新大塚園を訪れてまず感じたのは、仕切りがなくオープンな空間だなということです。

武内:そう感じたのはクラスの壁を設けていないからかもしれません。いわば教室全体が子どもたちのための空間です。絵本コーナー、おままごとコーナーなど、複数の遊びのブースを設けた「コーナー保育」を実践していて、子どもたちはクラスにこだわることなく活動しています。

Qそうでしたか。子どもたちは自分で遊びを選べるのですか?

佐藤:はい。原則として子どもたちが自分で何をして遊ぶか思いのまま選び、自由に遊びます。自主性や創造性が育つし、協調性も身に付きます。また、発達に遅れがある子は保育士が上手にその子の成長にあった遊びコーナーに誘導して、じっくり遊べるのも良い点です。

棚で仕切って「遊ぶ空間」を確立することで、安心感と集中力が高まるとか。

佐藤:特に、指先を使うものを置くようにしています。おままごとだったら、想像力をつかうもの。たとえば、りんごだったら、りんごそのものではなく、赤いフェルトとか、見立てられるものを置きます。

赤くて丸いフェルトは手作り。リンゴにもハンバーグにもなります。

Q異年齢でも遊べるのですか?

武内:はい、兄弟でも遊べますよ。その日によって気持ちが落ち着かない子もいますし、保護者の方から「今日は、兄弟で遊べますか?」といったお尋ねもよくあります。クラスに線引きがないので、兄弟で1日過ごすこともできるため、保護者の方も安心なさっているようです。

■給食を楽しく!子どもたちが自ら考える力を育むセミバイキングをスタート

Q新大塚園の独自の取り組みとして「セミバイキング」をやられているとか?

武内:当園では、ランチルームを設けていて子どもたちは自分の給食をトレーに載せて、自分の席まで配膳をします。その時、量が多いものと少ないものを用意していて、職員が「どっちにする?」と子どもたちに聞いて自分で選べるようにしています。

セミバイキングの様子。みんなトレーを上手に持っています

Q園児が自分でトレーを持って、自分で量を選んで、自分で運ぶのですか?

佐藤:はい。2歳の子も運べますよ。上手に運べるようになるまで少し時間がかかるだけです。でも、1ケ月ぐらいでみんな上手にできるようになります。

Q驚きました!特別に練習などをするのですか?

佐藤:いいえ。ただし、おままごとのおもちゃにお箸の訓練になるトングやトレーを置いたりしました。また、小さいフェルトのボールをおままごとの時にスプーンですくって遊ぶと、自然とスプーンの練習にもなります。 “遊びながら自然に”がモットーです。

おもちゃコーナーにあるトング。トングは3つの指を使うためお箸を持つ訓練にもなるそう。

Q「セミバイキング」の発案はどなたがされたのですか?

佐藤:武内施設長です。最初は正直驚きました。子どもたちはトレーを上手に持つことすらできませんし、料理をこぼすことは日常茶飯事でしたから。職員たちは「この取り組み、大丈夫?」と内心は不安でした。

Qそれでも続けられた理由は?

佐藤:武内施設長の「私を信じなさい」という度量の深さでしょうか(笑)。

実は武内施設長は以前の園でもセミバイキングを実践していて、その効果をお聞きした時「子どもたちのために、やってみたい」と思いました。

Qセミバイキングの効果とはどのようなことですか?

武内:好き嫌いが減り、必然的に食べる量が増えました。自立心も磨かれると思います。

セミバイキングでは日替わりで席も選べるし、おはし・スプーン・フォークのどれを使うかも子どもたちが選びます。大人から与えられたものではなく、自分で考えて選んだという点が大切。大人がよかれと思って「この量を食べさせなきゃ」と四苦八苦しても、それが“楽しく食べる”事につながるとは限りません。だから当園では食事の時は極力指導はいれません。先まわりして指示したり注意したりすると、食事を嫌がるようになってしまいがちだからです。

Qそうなのですね。こぼした時の対応はどうするのですか?

武内:「こぼれたね」と言いながら後片づけをするだけですよ。たとえスプーンのほうが食べやすい料理でお箸を選んだとしても、子どもが言わない限り替えたりはしません。子どもたちは学習し、考え、次からは食べやすい食具を選ぶようになります。

■開園時は全員が初顔合わせ。わずか半年で信頼関係を築いて

Q開園してから1年も経っていませんが、施設長を中心に一致団結しているように感じます。秘訣は何でしょうか?

武内:新園のため最初は全員が初顔合わせでした。手探りだった時期もありましたが、ピアノが得意な先生、パソコンが得意な先生など、それぞれの得意・不得意を認めあい補いあった結果でしょうか。たとえば佐藤先生は手先が器用で園のおもちゃを手作りしてくれるんです。誕生日用の巨大なケーキを作ってくれた時は、その出来栄えに職員も思わず歓声をあげました。

最近では、他の職員も触発されてか手作りの滑り台を作ったりしています。

子どもの背丈ほどもあるジャンボケーキは、大きな箱に入ったフェルト製。

 

子どもの背丈ほどもあるジャンボケーキは、大きな箱に入ったフェルト製。誕生会で子どもたちは大喜び!

武内:細かいことは言わないようにしています。最初からできないのは当たり前ですから、とにかくやってみてごらんと信じること。ただし、譲れないルールがあって、それを守らない時は指導しますね。

Qその譲れないルールとは、どのようなことですか?

武内:人に迷惑をかけること、人に危害をくわえることはしない。このルールを守れなかった時は雷を落とします(笑)。

佐藤:たとえ施設長に怒られても「信頼されているから怒られるのだ」と思うことができます。良い面はちゃんと見てくださりきちんと認めてくれるからです。

武内:1対1で話すこともモットーにしています。人を介すと誤解が生じるしオープンに話すことで信頼関係も築けます。以前注意した職員が、時を経て指導する立場に立った時「あの時の施設長の気持ちがわかりました」と言われた時は嬉しかったですね。

福岡出身で地元保育園にお勤めだった武内施設長は「東京の保育園も見てみたい」と決意し、ご主人を残し単身で当社に転職されたそうです。

取材後、給食の様子も拝見させてもらいました。楽しそうに食事をする子どもたちの笑顔から、先生方の保育への情熱と子どもたちへの愛情が園全体にあふれているようでした。

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