幼児給食日本一を目指す調理・レシピコンテスト「給食の鉄人®2023」の決勝大会が12月17日、東京・代々木の服部栄養専門学校で開催され、AIAI NURSERY 印西牧の原（千葉県印西市）チームが2年連続で入賞しました。

今年のテーマは「大豆・大豆製品を使ったメイン料理」。良質なたんぱく質をはじめ多くの栄養素を含み、改めて注目されている大豆や大豆製品を生かした個性豊かな作品がそろい、子どもたちへの思いや日頃の調理の腕を競いました。

<出場者と特別審査員・審査員、実行委員会の皆さん>

300を超える応募から選ばれた5チームが出場

給食の鉄人®2023は、自園調理の給食を提供している全国の幼稚園、保育園、認定こども園などの調理職員を対象とした調理・レシピコンテストで、今年で3回目になります。

乳幼児期は、生涯にわたる味覚や食にまつわる習慣が育まれる大切な時期。

こうした時期に保育施設の給食や食育が果たす役割の大きさを踏まえ、調理に関わる職員の知識やスキルの向上、家庭や地域への食育につながるイベントとして開催されています。

今年のテーマ「大豆・大豆製品を使ったメイン料理」（3歳児以上向け）は、水煮大豆はもちろん、豆腐や油揚げ、納豆、おから、高野豆腐など指定食材のバリエーションが豊かです。その分工夫の余地が大きいテーマです。

東北から九州まで約330の園からレシピが寄せられ、一次審査を勝ち抜いた5チームが決勝大会に臨みました。

給食の鉄人®2023　決勝大会出場チーム一覧

  • 川越ひばり幼稚園（埼玉県川越市）「豆腐にかくれんぼ」
  • うれしい保育園都島（大阪府大阪市）「大阪たこ焼き風 お花畑や～」
  • 赤坂ちとせ保育園（東京都港区）「こんがりんごみ～つけた！」
  • らく楽国分寺保育園（香川県高松市）「うどん県のごま豆乳坦々うどん 高野豆腐やけん」
  • AIAI NURSERY 印西牧の原（千葉県印西市）「“カレーにIN(zai)じゅわっとコク旨高野豆腐”のポットパン」

 

AIAI NURSERY 印西牧の原のレシピは「“カレーにIN(zai)じゅわっとコク旨高野豆腐”のポットパン」。

施設がある印西市は、5年ほど前から「印度じゃないよ、印西市」をキャッチフレーズに「カレーの街」を目指しているそうです。そこで、地元にちなんだカレーと特産のネギやトマトを生かし、そこに高野豆腐を加えて野菜のうま味を閉じ込めたソースがポイントの一品に仕上げました。

レシピを考案した調理職員の有澤さんは出場者で唯一、2年連続の出場。「試作品は3種類くらい作りました。保育士さんたちにも試食してもらって感想をいただいて、このレシピができました」と振り返ってくれました。

制限時間50分　チームワークを生かして調理

開会式が済むと、いよいよ調理スタート。50分の制限時間内に盛り付けまでを完成させます。

特別審査員の服部幸應（はっとり・ゆきお）さん（学校法人服部学園、服部栄養専門学校理事長）や、東京・南麻布にある日本料理の名店「分とく山」総料理長の野﨑洋光（のざき・ひろみつ）さん、家庭料理研究家の奥薗壽子（おくぞの・としこ）さんら審査員が見守るなか、各チームとも手際よく、調理が進めます。

AIAI NURSERY 印西牧の原の有澤さん、矢仲さんも分担して効率よく作業し、制限時間に余裕をもって完成させました。

<特別審査員の服部幸應さんが見守るなか調理を進めるAIAI NURSERY印西牧の原の2人>

<審査員の奥薗壽子さん（右から2番目）から調理のポイントを尋ねられる場面も>

 

<ソースを煮込んだら、器になるパンに詰めます>

<焼きあがったばかりのポットパン。食欲をそそられます>

地元のイメージカラーで元気にプレゼン

調理が終わると、各チームのプレゼンテーションと試食が行われます。

園の紹介やレシピに込めた思い、普段から行っている食育の取り組みなどを特別審査員、審査員の前で発表します。

<プレゼンテーションでは印西市のイメージカラーであるピンクのトップスを着用。笑顔で審査員の質問に答える2人>

審査では、チームワークや衛生管理といった調理の手法に加え、子どもたちが食べたくなるような魅力的な見た目であること、他園でも作りやすい再現性の高さ、給食ならではの大量調理のしやすさ、旬の食材や地元の特産品を生かしたり、食品ロスの抑えたりといったサステナビリティの視点も採点されます。

5チーム中最後に登場した有澤さんと矢仲さんは、印西市のカラーであるピンク色のトップスを着用し、市のキャラクター「インざい君」のぬいぐるみを持って登場。地元の特産品のほか、ニンジンやブロッコリー、コーンなど野菜をたっぷり使っていること、刻んだ高野豆腐をそのまま加えることで時短になる工夫をしたことなどを説明。終始笑顔で審査員の皆さんの質問にも、終始笑顔で答えていました。

家庭でも挑戦しやすい！　再現性に高評価

プレゼンテーションが終了後は、他の出場チームの作品を試食し、出場者同士が交流する時間を経て、いよいよ表彰式です。

入賞チームが次々に発表され、AIAI NURSERY 印西牧の原は産経新聞社賞に輝きました。

審査員を務めたNPO日本食育インストラクター協会事務局長、岡田記世子（おかだ・きよこ）さんは、AIAI NURSERY印西牧の原の作品について、「高野豆腐とカレーという組み合わせが新鮮だった。作り置きをしたりいろいろアレンジできたりと家庭でも挑戦しやすいメニューでした」と高評価。

同じく審査員の帝京平成大学人文社会学部児童学科講師・村上大樹（むらかみ・たいき）さんも「地元の特産品のネギやトマトに加え、ニンジンやブロッコリーといった野菜は全部、僕の息子の苦手な食材(笑)　それなのにとても食べやすかった。もしかして僕でも作れるかも、と思えたメニューでした」と称えました。

<出場者全員での試食タイム。貴重な交流の場です>

<表彰式に臨む有澤さんと矢仲さん>

優勝・東京都知事賞は、赤坂ちとせ保育園（東京都）の「こんがりんごみ～つけた！」。豆腐と豚ひき肉を使ったメンチカツに素揚げした野菜やリンゴを使ったトマトソースをあしらってリンゴに見立てた一品で、素材を生かしたシンプルな味付けと子どもたちの興味を引くかわいらしい見た目が高い評価を受けました。

<入賞した5作品。手前左が優勝・東京都知事賞の「こんがりんごみ～つけた！」>

給食の鉄人®2023　決勝大会　最終結果

  • 優勝・東京都知事賞　赤坂ちとせ保育園「こんがりんごみ～つけた！」
  • 東京都農業協同組合中央会賞　川越ひばり幼稚園「豆腐にかくれんぼ」
  • 産経新聞社賞　AIAI NURSERY 印西牧の原「“カレーにIN(zai)じゅわっとコク旨高野豆腐”のポットパン」
  • 日本Educe食育総合研究所賞　らく楽国分寺保育園「うどん県のごま豆乳坦々うどん　高野豆腐やけん」
  • 審査員特別賞　うれしい保育園都島「大阪たこ焼き風　お花畑や～」

 

特別審査員の服部幸應さんは「優勝したチームとそれ以外のチームの差はほんのわずかなもので、審査には苦労した。1歳から8歳くらいまでに経験した家庭での味が『一生の味』になる。それを補うのが保育園や幼稚園での食事。大切な年齢だということを改めて意識してほしい」と締めくくりました。

大会を終えた有澤さんは「昨年はすごく緊張したけど、今年は全体的にとても楽しめた。調理もそうですが、プレゼンテーションも自分たちらしくやれたと思います。優勝できなかったのは残念ですが、悔いはないです」と笑顔。9月に入職してすぐ本大会の準備に入った矢仲さんは「決勝大会はあっという間でした。試食をしてくれた園の保育士の先生方に意見を聴いたり、子どもたちもメニューの名前を考えてくれました。優勝を狙えるところまで来れたのは、みんなのおかげだと伝えたいです」と振り返ってくれました。

<表彰式後、応援に駆けつけた武藤施設長と記念撮影>

入賞作品をはじめ、給食の鉄人®2023の特別メニューは来年、AIAI NURSERY各園などで実際に幼児向けの給食メニューとして登場する予定です。

※給食の鉄人®2022の様子はこちら。

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