2024年の4月にアップした「東京都の付加的保育の動向について」の進捗になりますが、内閣府の第22回規制改革推進会議において、付加的保育について言及されました。

規制改革推進に関する中間答申(令和6年12月25日)P18」の「認可保育所における付加的サービスの円滑化」について、一部転載します。

平成29年12月に、厚生労働省の事務連絡が発出され、子ども・子育て支援制度上、保育所等が行う、保育所保育指針(平成 29 年厚生労働省告示第 117 号)が示す基本原則を逸脱しない範囲での付加的保育について、保護者の同意が得られれば上乗せ徴収により実施することが可能である旨が明確化された。
しかし、現状では、確認する限りにおいて、認可保育所における付加的保育を認めている市町村は少数であるとの指摘がある。
また、保護者と事業者の直接契約を規制する保育関係法令上の根拠規定は無いが、それも認めていない自治体がある。
こうした現状は、利用者のニーズが一定程度存在しているにもかかわらず、認可保育所のみが良質かつ多様な保育サービスの選択肢が限定させている
そのため、認可保育所において、上乗せ徴収、直接契約にかかわらず、付加的サービスが真に原則実施可能となるよう、以下の措置を講ずる。
そこで、こども家庭庁は、市町村に対し、認可保育所における付加的サービスの実施に関してあらためて周知・調査し、その結果を市町村及び保育事業者に対して周知するとともに、こども家庭庁ホームページで公表する措置を取る。

また、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策(令和6年11月22日)P53」において、「保育所を運営する株式会社が地方公共団体に提出する会計書類に企業会計基準を適用することを可能とする運用方針について、2024年度内に、改めてそれらを周知するとともに、国の相談窓口を設置する」と明記されたことで、株式会社は行政監査のときに社会福祉法人会計を別に作成することなく、一般的な決算書を提出だけで済むことになります。

これまで、年に1回おこなわれる行政監査の際は、本来的には企業会計書類の提出だけで十分なのですが、自治体の担当者が会社の決算書に馴染みがないことから、社会福祉法人会計の書類の提出を求めてきました。
しかし、保育所を運営する法人の経理担当者からすると、決算書類を作成するだけでも相当な労力がかかるにも関わらず、それに追加して社会福祉法人会計書類を作成することで経理作業に2倍の工数が発生していました。
しかも、社会福祉法人会計書類を作成する理由が「監査担当者が企業の決算書を理解できない」というだけのもので、決算書は決して難しい書類ではなく、会社員であれば誰でも読める決算書を読めないということを理由していたり、その代替案として社会福祉法人会計書類の作成費用も支給しないことは保育事業者としては到底納得のいくものではありませんでした。
今回の規制改革によって、全国の株式会社立の保育事業者の負担は大きく軽減されることが期待できます。

保育の質の向上に重要な付加的保育と保育所運営に支障のあった企業会計の適用に焦点をあてていただいた内閣府の規制改革推進室の方々には心から感謝申し上げます。