2025年9月3日(水)に、日本保育連盟の理事として東京都庁にて団体ヒアリングに参加しました。

そこで、私から「認定保育士制度の創設」について説明しました。

保育士の上位資格の必要性については、5年前から問題視していました。

2023年12月22日、子ども家庭庁が公表した「子ども未来戦略」には、若者・子ども世代の所得を伸ばすことで少子化を反転させるという明確な方針が示されました。

その施策の一つとして掲げられたのが「構造的賃上げ」です。

構造的賃上げを実現する方針として、次の3つが挙げられています。

①リスキリングによる能力向上支援

②企業の実態に応じた職務給の導入

③成長分野への労働移動の円滑化

長年に渡り、保育業界は待機児童問題の解消に取り組んできましたが、2020年代に入り待機児童数が大きく減少した一方で、量的拡大から質的向上への転換が求められる時代となりました。

待機児童解消のために施設が急速に増え、配置基準も改善されましたが、保育士の数をどう増やすかという課題は依然として解決していません。

さらに、仮に保育士が増えても保育士の専門性の向上が伴わなければ、保育の質が向上するとは限りません。

これが現場の大きな悩みです。

保育士には国家試験が免除されていること、上位資格が存在しないこと、さらに保育園と幼稚園で分かれているため、幼稚園教諭と保育士資格の両方を取得することが推奨されており、その結果、未就学期の集団保育に集中したカリキュラム構成となってしまい、一般教養をはじめとして、現場で必要となる就学支援、就学後ケア、障害、非行、虐待などの専門性が弱いことが課題です。

その結果、保育士は専門性に応じて待遇が上がる仕組みがなく、保育士等キャリアアップ研修もありますが、あくまでも保育士資格の範囲における研修であり、保育士資格のステップアップには結びついていません。

こうした課題を解決するために提案されているのが認定保育士制度です。

認定保育士資格は、保育士資格の上位資格として位置づけられ、現場の課題解決に必要な高度な知識と技能を備えた人材を育成します。

モデルとしは認定看護師制度であり、保育士等キャリアアップ研修や他業界のキャリアパス制度も参考に設計されています。

認定保育士資格を取得するには、次の4つの条件を満たす必要があります。

①日本保育連盟の会員であること
個人で加入するか、法人会員に所属することが要件。

②認定保育士履修プログラムの受講(8科目)
働きながらでも学べるように、土曜日中心・オンライン・オンデマンドで提供。

③保育士等キャリアアップ研修8科目のうち4科目を履修(マネジメントと発達障害は必須)
既存の保育士等キャリアアップ研修を組み込み、連携した仕組み。

④最後に、履修内容をもとに現場の課題解決に関する論文を学会誌に投稿することが求められます。

原著論文のように新規性は必須ではなく、論理性と課題解決力が重視されるため、研究ノートや実践レポートでも採録されれば要件を満たします。

2025年10月から第一期生の募集が開始されます。

東京都民ファーストや公明党の団体ヒアリングを通じ、今回のように予算要望も実施しています。

専門性の向上により、上位資格を取得した保育士が、現場の課題解決をリード。

キャリアパスの確立と待遇改善により、昇進・昇給が明確となり、離職率の低下にもつながります。

人材確保と新規参入の促進され、上位資格を目指す仕組みが動機付けとなり、若者の保育士志望者増加も期待されます。

さらには、看護師や作業療法士など異分野の専門職と連携し、保育現場の対応力を強化が期待できます。

認定保育士制度は、保育士のキャリアアップの道を開き、保育の質を高め、人材確保と定着率向上に寄与する新しい仕組みとして、2025年10月から動き出します。

やる気のある保育士が専門性を磨き、キャリアを切り開き、将来の保育業界を支える存在となることが期待されています。

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