海外研修は「ご褒美」か?

多くの保育事業者が社内研修の一環として海外研修を行っています。行き先で多いのはヨーロッパで高福祉政策をとっているところが多いように感じます。

また、研修に参加する人たちの人選を見ていると勤続年数が一定の期間以上の方という制限を設けるなど、研修という意味と併せて「ご褒美」的なニュアンスを多く含む場合もみられます。

「行くだけ」の海外研修

海外の福祉施設の実態を見て、単純に自施設の保育に取り入れようとすることはあまり意味の無いことだという認識は海外研修に行く方はみな持っているものだと思います。

そこ(海外研修先)で行われている保育は、その土地の文化や歴史、福祉政策、法律、養成校や教育機関等の背景が大きく関わっているため、そのまま日本に導入しても上手く行かない事が多いですし、単純に一部だけ導入しても施設の職員や保護者、地域に受け容れられません。

「良いとこ取り」をすればいいという話を聞きますが、保育はそれほど単純なものではありませんし、「ご褒美」という後ろめたさに対するエキスキューズだろうと思っています。

海外の保育の様子を見学し、「すごくいいけど日本では難しいね」で終わってしまったり、部分的に取り入れるだけで一人当たり何十万円も掛けて海外研修をしたコストに見合わないケースは、海外研修の後日談としてはよく聞く話です。

目的は「人間性の向上」と「専門性の向上」

全国保育士会倫理綱領には以下の記載があります。

すべての子どもは、豊かな愛情の中で心身ともに健やかに育てられ、自ら伸びていく無限の可能性を持っています。

私たちは、子どもが現在(いま)を幸せに生活し、未来(あす)を生きる力を育てる保育の仕事に誇りと責任をもって、自らの人間性と専門性の向上に努め、一人一人の子どもを心から尊重し、次のことを行います。

私たちは、子どもの育ちを支えます。
私たちは、保護者の子育てを支えます。
私たちは、子どもと子育てにやさしい社会をつくります。

保育に関するいかなる研修も上記の「自らの人間性と専門性の向上」に資するものでなければならないはずです。

保育士+海外研修でのgoogleでの検索結果を見てもなんとなくわかる気がすると思うのですが実態はそうでないケースも多いと感じています。

しかし、少なくとも当社は一人当たり何十万円も掛けて行う研修がご褒美や単なる採用目的の手段となることは本来の研修の目的からは大きく外れると思っています。

当社の海外研修

当社は2つの海外研修を設けています。ひとつは「人間性の向上」を目的としたカンボジアへの研修で、もうひとつが「専門性の向上」を目的としたフィンランドでの研修です。

研修は大まかに以下の流れで実施されます。

研修を受ける職員の選定

事前準備のための勉強会開催

研修当日:
施設見学とヒアリング、プレゼン資料作成
研修最終日:
研修報告プレゼンテーション

帰国後の調査と報告会資料の作成

社員総会での研修報告

当社のカンボジア及びフィンランドの海外研修に「ご褒美」的な要素は無く、むしろ研修はその準備を含め大きな負担となっています。

当社では、海外研修を行う職員の選定を厳密に行い(施設長ライセンス取得者のみ)、研修の目的を明確に持ち(自身の研究テーマ等との比較等)、研修前の事前準備を十分に実施し(文化や歴史、福祉政策、法律、専門家の養成プロセス等の調査)、研修後のフォローを徹底的に調査する(研修中に十分に確認できなかったことや新たな疑問の調査等)本当の意味での海外研修を行うことで、他社のどの海外研修よりも大きな効果が上がっているという自負があります。

尚、上記カッコ内はフィンランド研修の場合です。当社では施設長ライセンスに合格した施設長は、査読付き論文の学会提出をライセンス更新の条件(PIQ)としています。フィンランド研修に行く施設長は自身の研究テーマを持っていますので、そのテーマがフィンランドではどのような形で行われているか等、一般的な海外研修ではなかなか見られない詳細で深い質疑が行われています。

PIQ(Progression In Quality)の実績

本年度の研修内容の具体的なご紹介は今後、この広報ブログで行っていこうと考えています 。


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