貞松成社長は今月13日に東京都庁内で、都内の待機児童問題や保育士確保に向けた課題や今後の展開について、東京都の多羅尾光睦副知事と意見交換を行いました。多羅尾副知事は保育士の業務負担を担い、あい・あい保育園を運営するgb社の関連システム会社「social solutions」が開発販売している保育Techシステム「Child Care System」(CCS)や保育支援ロボットVEVOに関心を示し、「IT導入における保護者の反応はどうですか」などと質問。これに対して、貞松社長は「保育士の負担軽減につながるので好意的ですが、使用者側である保育士のITリテラシーの問題もあり、教育も必要になります」などと語りました。主なやりとりは以下の通りです。ご覧ください。
――貞松社長 「東京都の保育行政の課題は土地と人の確保です。(資本提携をした)ウェルクスさんは保育サービスの登録者は23万人、うち有資格者は17万人です。今回の資本提携で人材(保育士)不足の解消につながり、質の担保が可能になると思います。ICT活用により、保育士ではできないことをシステムやロボットに担ってもらいます。今後は子どものデータを蓄積して解析し、健康予測や発達の状況を可視化し、新たなサービスを展開していきたいと思っています」
――多羅尾副知事 「保育士不足が解消しない原因や問題として、保育士の給与が低いと言われていますが、どうでしょうか」
――貞松社長 「2007年に私が最初、千葉の幕張で保育園を作り、月給16.5万円で保育士の求人出しましたが、当時はたくさんの応募がありました。今は、東京都内では、かなり好待遇になり、新卒でも社宅補助など含め年収400万円を超えています」
――多羅尾副知事 「小池百合子都知事は、東京の出生率2.07を目指すと言っています。ITを導入したことで保護者の方からの反応はどうでしょうか」
――貞松社長 「保護者も保育の大変さを知っていますので、保育士の負担軽減につながるので好意的です。ただ、一方で使用者側の保育士のITリテラシーの問題があります。教育が必要になりますが、都内では保育士の40%は20代なので、抵抗は少ないはずです」
「保育の内容はデジタル化はできませんが、あい・あい保育園ではIT導入で、保育士の年間休日130日を確保できました。共働き世帯が1200万世帯で、保育士が子育ての肩代わりをせざるえません。それを20代の保育士で担っていることが問題なんです。今後は保育の質を高めるため、保育士さんのキャリアプランが必要であり、長く働ける環境づくりが必要です。そのためにもITをフル活用していきたいと思っています」
――多羅尾副知事 「行政はどうしても、まずは待機児童の数を減らすことが主目的となってしまう。質のところまですぐにはいけないが、いずれ量から質への転換が必要となってきます」
――貞松社長 「保育園もよい環境が必要です。あい・あい保育園では小学校入学へのスムーズな連携ができるよう、学校の教室のように一人に一つの机を用意した学習室も設けています」
――多羅尾副知事 「なるほど、子どもの就学前教育や保育士さんのキャリア教育にも力を入れてらっしゃるのもよく理解できました。養成機関みたいなものはやらないのですか」
――貞松社長 「保育士養成校の課題の一つとしては、カリキュラムの受講と実習だけで資格試験がないまま保育士資格を取得できてしまうことです。養成校の設立も考えたことはありますが、やはり養成校から引き受けてから保育士を育てた方が今は良いと考えています。保育士の待遇が変わってきていますので、あと10年すれば大きく状況は変わると思っています」(談)