interview
AIAI NURSERY第二東池袋
母店施設長 柴田亮
- 経歴
- あい・あい保育園本八幡園(現AIAI NURSERY本八幡)
- あい・あい保育園妙典一丁目園施設長
- 施設長ライセンス取得
- 母店施設長昇格
- AIAI NURSERY第二東池袋施設長(現任)
入社前の略歴
北海道函館市で保育士養成校卒業後、地元の保育園に就職。その後、保育士として勤務しながら通信制の大学で子育て支援・保護者支援を学び、子育て支援センターで支援業務に従事。子育て支援センターの業務に携わるなかで大学院で学ぶ必要性を感じ、業務の傍ら大学院で学び、修士号(保育学)を取得。その後、認定こども園で2年務めた後、恩師の誘いで上京。1年後にglobal child care(現AIAI Child Care)株式会社入社。
「最初の2年間に担当した子どもたちのなかに、言葉がなかなか出ないといった成長に悩みを抱えているお子さんとお母さんがいました。お母さんを支えることで、お母さんが子どもと向き合えるようになると、その子が変わってすごく伸びました。それを目の当たりにして『子育て支援のプロ』がいてもいいはず、と思って大学で学ぶことにしました」
「大学も大学院も働きながらだったので大変でしたが、当時の職場の理解を得て終えることができました。修士号を得たことで、その後保護者様を含めさまざまな方々と接するときに、専門的に学んだということで先方の受け取り方が変わります。また、研究で得た知見は、職員と話すときもたくさんの抽斗となってくれていると思います」
離職を抑える工夫
- 困っている人にとことん寄り添う
- 「ブロック内で困っていたり、問題が起きたりしている施設には、実際に通えるだけ通って『一緒に立て直そう』という気持ちでやってきました。保護者への対応などで、その施設だけで対応できないことがあれば、私が対応します。現場の保育士を守るのは施設長、その施設長を支えるのが私なので、その人のために時間を使うようにしています」
自ブロックで質が高いと思うところ/マネジメントの工夫
- ブロック内に「中間リーダー」を配置、ブロック内の結びつきが強い
- 「今期はブロック内で、社歴が長く論理的な思考ができる、または責任感や人を思う気持ちが強くてムードメーカーになれる、といった施設長2人に中間リーダーのような役割を担ってもらっています。新任の施設長は2人に気軽に相談できますし、最終的には私が責任をもちますが、2人のところで問題が解決すれば、2人のやりがいや自信にもつながります」
- 「そのほかにも、ブロック内の施設で何か問題が起きればブロックの全施設長が駆けつける、といった雰囲気があります。例えば、昨年のインスペクト結果がよくなかった施設には、施設長全員で出向き、それぞれが改善できそうな点を見つけて準備の土台をつくりました。各施設長が孤立せず『ブロック内でここまで助け合えるんだ』と思ってもらうことができると考えています」
- 認められる機会をつくる
- 「ブロック会議や職員会議では、お互いに学び合える場を設けています。毎回、順番を決めて保育に関わることから日常での気づきまで、自由に発表してもらいます。絵本を持ってきて紹介してくれたり、わらべ歌について教えてくれたり、公共広告をきっかけに得た気づきなど、これまでもさまざまなことを皆さんが共有してくれました。こうした機会を設けることで、相手に共感し相手の立場に立って考える、ということが自然にできる雰囲気づくりにつながっていると考えています」
- 「このブロックでよかった」と思える場をつくる
- 「今期はブロックで、外部から講師を招いて現場の職員たちのニーズが高い研修を開催する予定です。社内の研修は充実していますし、自治体によっては学びの機会を積極的に提供してくれるところもありますが、そうでない自治体もあります。ですから、職員が自発的に『学びたい』と思うことを学べる場を提供して、可能であればブロック外でも参加できる人に参加してもらえたらと考えています」
人材育成
- 長い目で見る
- 「問題があったとしても人はすぐには変われません。その問題を本質的に理解して、納得し、当たり前に改善できるようになるにはそれなりに時間が必要です。ですので『長い目で見る』というのが大前提。同じことを何度も言わなくてはならないとしても、それは必要なことだと考えています」
- 「失敗しても大丈夫」という安心感
- 「誰にでも失敗はありますし、失敗しても立ち直って自信をつけていかないと成長できません。子どもたちの安全をしっかり守ったうえで、『ここだったら失敗しても大丈夫』という心理的安全性を確保することが大切だと思います」
- 職員同士の語り合いの場を設ける
- 「私や主任だけでなく、職員同士でもできるだけ1on1を行って話し合える場を設けています。普段からあらゆることを話し合えていれば、何か指摘をしたとしても大きなトラブルにはなりません。教育や研修の機会を確保することはもちろんですが、職員が自ら育っていける環境づくりに注力しています。そのためか前年度は結婚や海外渡航などやむを得ない事情以外で離職した方はいませんでした」
- やりがいをもってもらう
- 「保育士なら『こんな活動をしてみたい』『子どもたちにこんなことをさせてあげたい』という自発的な希望は、できるだけかなえられるように考えます。調理職員は調理レシピコンテスト『給食の鉄人』に参加し、自分たちのレシピがレシピブックに載ったことをとても喜んでいました」
母店施設長のやりがい
- 保育者としての視野、知識や経験が広がる
- 「母店制度は他になかなかないシステム。大変な面もありますが、他園のマネジメントに関わることで視野が広がります。各自治体の姿勢を含めて保育者としての知識や経験、マネジメント力が磨かれると思います」
- 知識や経験を活かす場が増える
- 「母店施設長として、自分の園以外の園も見ることで、自分の知見やスキルを活かす場が増えます。会社として大事にすること、それに加えて自分として大事にしたいところを伝えられる場所が増え、より良い保育につながる機会が増えるところもやりがいだと思います」
母店とそうではない施設の違い
- 職員の意識や雰囲気
- 「母店と母店以外の施設で、職員の意識は違うかなとは思います。職員からはよく『良くも悪くも母店の職員としてのプレッシャーがある』という話は聞きますね。自分たちが間違ったことをしてしまうと、母店としてのレベルを疑われてしまう、という意識があるようです。一方で、母店で働くありがたみ、うれしさ、誇りも感じていると聞きます。母店の職員のこうした意識が一つひとつの言動や行動の違いに表れるのかもしれません」
- ロイヤリティの高さ
- 「社内外を通じて守らなければならないルールや会社への帰属意識、AIAI NURSERYの保育理念や取り組みに対する理解も、母店の職員はそれ以外の施設の職員に比べると高いように感じます。母店以外でも良い保育をしている施設はたくさんありますが、母店の職員がそういう施設に行ったときには、何かしらの気づきを得て帰ってきますし、新たな取り組みをするときなどの一体感も異なるかもしれません」
母店になってからの変化
- 時間の使い方
- 「他の園のマネジメントをするため、タイムマネジメントをそれまでよりも厳しくするようになったと思います。できることは可能な限り計画的に進めていけるよう、段取りをする力がつきました」
- 情報発信の重要性
- 「母店になったことで、それまでよりも多様な職員、多様な施設長、多様な保育に出合う機会を得ました。そこで『自園だけ良ければいい』というのではなく、より良い保育とは何か、というのを自分から伝えていかないと、良くなっていかないということに改めて気づきました。保護者の方々に対しても同じで、自分の園にいるときにはできるだけ保護者の方々にお声がけするようにしています。今、私たちがどんな保育をしているか、子どもたちがどんなふうに成長しているか、といったことを積極的に発信していくことで、保護者の方々の理解や信頼を得ることができると思います」