出所:労働政策研究・研修機構
(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/pdf/g0212.pdf)
高齢化率(総人口に占める 65 歳以上人口の割合)が3割程度に達している日本は超“少子高齢社会”です。社会保障を大きく占めるのは、年金、医療、次いで介護であるが、生活保護や障害者福祉も決して少ない額ではありません。しかし、子育て・保育も社会保障の一部です。一般的には、子どもがいる人であっても、子育て期間は老後に比べると非常に短く、子育て時期の苦労は、子どもの成長とともに過去の話となります。
高齢者を慮る施策はこれまでも多数実施されてきたが、子育てを重視する施策はあまり多くはなく、最近になってようやく政府も、子育て・保育について「全世代型社会保障の実現に向けて充実・強化を図る」と言及しましたが、これは詰まるところ、最近までは「全世代型社会保障」ではなく、“高齢者重視型社会保障”であったということでしょう。
図を見ると、専業主婦世帯は減り続け、共働き世帯は増え続ける傾向にあることがわかります。共働き世帯の数字はさらに伸び続け、最終的には欧米西洋に並ぶでしょう。専業主婦世帯が多かった時代に作られた制度の多くは、共働き世帯が多い今の時代には合わなくなってきています。
現自民党政権は子育て政策に熱心ですが、それは前民主党政権時代の方針を引き継いだものであり、さらにその前の旧自民党政権では、子育て政策は全くと言っていいほど前に進んでいませんでした。前民主党政権は負の遺産が多いと言われているかもしれませんが、子育て政策に光を当て始めた点は高く評価できます。
2019 年 10 月から消費税率が8%から 10%に引き上げられる予定となっており、その増税収分は幼児教育無償化に充てられることになっています。
その内容は大きく次の二点です。
①旧制度の幼稚園の無償化
3歳から5歳までの全ての子どもについての幼稚園、保育所、認定こども園の費用の無償化措置を講ずる。子ども・子育て支援新制度の対象とならない幼稚園については、同制度における利用者負担額(月額 2.57 万円)を上限とする。
②幼稚園の「預かり保育」の無償化
保育の必要性があると認定された子どもの「幼稚園の預かり保育」は無償化の対象とする。幼稚園の預かり保育については、幼稚園保育料の無償化上限額(月額2.57万円)を含めて、上述の上限額(認可保育所における月額保育料の全国平均額・月額 3.7 万円)まで無償とする。
旧制度の幼稚園のうち半数は、子ども・子育て支援新制度へ移行する予定がないか、又は、将来の移行が明確となっていない状況です。幼児教育無償化では保育の必要性があると認定された幼稚園の「預かり保育」も無償化の対象とされる見込みでありますが、その「預かり保育」が無償化の対象になるのであれば、そこでも保育園、認定こども園、幼稚園は競合することになります。
園児の親に選ばれる保育園になれるか、園児が満足する保育園になれるか等々、保育サービス分野において、互いに高め合う競争が激しくなっていくことは確実ですが、新制度へ移行する予定がないという情報から考えると、幼稚園はますます減少していくことが予想されます。