12月14日(金)に行われた一般社団法人日本事業所内保育団体連合会の東京都保育士等キャリアアップ研修 「障害児保育」の研修レポートです。
近年、発達障害という言葉が一般的になり、保育施設でも発達に偏りのある子どもに対する認知が進んできました。しかしその一方で保育者の多くが発達障害について十分な理解と保護者対応を含めた適切な対応スキルがあるとは言えない状況があります。
本研修は12月14日と21日の2日間行われ(今日はその1日目です)、講義、演習、グループ討議(ワークショップ)を通して発達障害の理解、家庭及び関係機関との連携、 指導方法・指導計画作成、共生社会への理解等の幅広いテーマを学ぶものです。
12月14日(金)「障害児保育」第一回目の内容
以下が第一日目の内容です。
第一部:発達障害の理解と特徴家庭および関係機関との連携(8:45-12:00)
和洋女子大学 こども発達学科 准教授
金井 智恵子 先生
- ・障害のある子の理解
- ・合理的配慮の理解
- ・保護者との関わり
第二部:障害児における教育・保育、発達障害児の指導法(12:45-18:15)
相模女子大学 子ども教育学科 教授
トート・ガーボル 先生
- ・障害児保育における個々の 発達を促す生活と遊びの環境
- ・医療的ケア児の理解
- ・障害児の発達とその援助
朝から夕方までびっちり入った研修はかなり濃い内容です。二日目の研修の後には理解度を自己確認するためのテストもありますから皆さん適度な緊張感を持って受講されていました。
第一部は基本的な発達障害に関する理解
午前中は、和洋女子大学 こども発達学科 准教授 金井 智恵子先生による基本的な発達障害を理解するための講義です。
自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(LD)、発達性強調運動障害(不器用)に関する基本的な理解と、発達障害の原因、オキシトシン、WAIS-ⅲ、ASDハイリスク児の特徴、ABA(Applied Behavior Analysis:応用行動分析)に関する話を最近の臨床研究の成果と併せて説明していただきました。そして前半の講義に知識を元に、いくつかの例題に対してグループディスカッションと発表、ワークショップを行いました。
基本的な内容ですが、最新の情報や活動についても盛り込まれており良い復習の時間になりました。
個人的には今、ABA(Applied Behavior Analysis:応用行動分析)に興味があるので、もう少し詳しくお話を聞きたいなと思いました。12月21日の第二回では詳しくやっていただけるのかなと期待しています。
第2部:発達を促す生活と遊び
午後からの講義は、講義とワークショップを中心に相模女子大学 子ども教育学科 教授 トート・ガーボル先生による障害児における教育・保育、発達障害児の指導法の講座です。
講義内容ですが、アメリカのDSM5では分類、定義されていない部分を中心に、発達障害やその他の障害について健常児の定型発達の説明と併せてその特徴や関わり方を説明していただきました。
トート先生は基本的に米国DSM(DSM-5)ではなくWHOのICD(ICD-11)を支持されているとのことで休憩中にその違いをお聞きしましたが非常に勉強になりました。
講義の内容は午前中の基礎的な内容を踏まえ、ある程度専門的な内容になりました。しかし実際に、自分の体を動かしたり、その時の体の感覚を自身で感じながら体と心の仕組みや発達段階について理論的、体系的に学ぶことでわかりやすく理解できるスタイルの講義だったのではないかと思います。
なによりトート先生の非常にユーモラスな語り口はその内容と相まって聞き手を飽きさせない楽しさがありました。
障害児保育で大切なこと
講義やワークショップを通して改めて感じたのは、発達障害やその他の障害を学ぶ際の健常児の定型発達に関する体系的な理解の重要性です。今回の講義でも健常児の定型発達の理解が発達障害児の発達理解に対しても非常に有効であると実感しました。
保育は「理論と実践」が大切なのは言うまでもありませんが、どうしても結果(実践)を先に求める傾向が強く「理論」がおざなりになりがちです。しかし、保育所保育指針にもあるとおり保育者はその専門性をもって保育にあたる必要があります。
発達障害に対する理解と実践は数日間の学習で身につくものではありませんが、本研修をきっかけにしてより深い理解と支援ができるように日々の学習をすすめていただければと思います。
第二回目のレポートはこちら。
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