保育園への入園は4月に集中
待機児童対策の一つとして、育休期間の延長が論じられたことをご記憶の方もいるのではないかと思います。2021年1月に刊行された「子育て支援の経済学」(山口慎太郎 日本評論社)の第9章のモデル分析の結論としては、「育休をとることができる期間が増えたからといって、実際に育休を取ろうという人はそれほど多くないのだ」としている。つまり、育休期間を制度的に3年まで延ばしても、実際の育休期間の意思決定は、1年から大きく伸びないという分析結果になっているとのこと。
そこで、弊社グループの保育園に2020年度に0歳児で入園した園児の入園時月齢を少し集計してみました。
これをみると、4月に入園する0歳児の入園で、4月入園がもっとも多く、0歳入園児の7割以上が4月入園です。と同時に、その入園の時点での月齢は、均等に分布しているのではなく、月齢6ヶ月以上、特に、9ヶ月、11ヶ月に偏っているということも見て取れます。
このようなデータをみると、保育園に入園する0歳児については、誕生時期の「調整」が、行われていると推測できるということです。4月入園に合わせて、ある程度の月齢になるように「調整」が行われているように見えます。つまり、職場復帰について、半年から1年を見据え、職場復帰の時点で、子どもが入園する4月になるように、出産タイミングを調整しているのではないかということです。このような調整がなされていれば、やはり育休期間の延長が、実際の育休期間の長期化に繋がるかというと確かに疑問です。
入園時月齢は、「半年」と「10ヶ月」「11ヶ月」が多い
さらに、4月以外に入園した0歳児の月齢別入園時数をグラフにしてみました。
明らかに、月齢で6ヶ月と10ヶ月10、11ヶ月にピークがあります。
こちらは、4月復帰=4月入園を目指した出産時期の調整をしていない(できない)保護者の子どもたちだと推測できます。となれば、入園時の月齢について、ランダムになっても良いようにも思われます。しかし、実際には、4月の入園においても、月齢でみて、半年と1年少し前に、入園数のピークが来ます。これは、このタイミングで、保護者、特に母親の職場復帰のピークがあると解釈できるかと思います。
保活のためのタイミング調整?
これらのデータからすると、
・育休を取得した保護者の職場復帰は、半年から1年少し前にピークがある。そのため、0歳児保育に入園する子どもの月齢も、対応する月齢に偏っている。
・4月入園=4月職場復帰時に、半年から11ヶ月の月齢になるように、出産のタイミングが調整されている可能性がある。
のように整理できるのではないでしょうか。
巷間よく言われていることではありますが、比較的分かりやすい形でデータに表れており、少し驚いています。